瑕疵問題
近年、瑕疵問題によるトラブルが急増しています!
耐震偽装事件は、設計者が工事業者の言いなりになってしまったのが原因と言われています。
建築工事においては、工事業者とは独立した第3者として監理者の存在が必要なのです。その見積は適正?工法は正しい?品質は適正?契約内容に問題は?
ybell は管理組合の代わりに厳しいチェックとアドバイスを致します。
瑕疵とは
瑕疵とは、建物が完成した時より存在する工事の欠陥部分であり、容易に発見できる「見える瑕疵」と、
ある程度の年月を経なければ現れてこない「隠れた瑕疵」とに分けられます。瑕疵とよく混同されるものに「経年劣化」がありますが、これは年月を経るごとに進行して ゆく形状や性能の劣化のことであり、自然現象とも言えます。
完成後8~10年程度経過したマンションでは、「経年劣化」が表面に出始め、 そろそろ大規模修繕という言葉が思い浮かんでくる頃と思われます。 しかし、その「経年劣化」には、「瑕疵」が含まれている場合が数多くあります。 例えば、工事から1~2年で雨漏りが発生したり、修繕箇所でひび割れがおこったりするのは瑕疵に該当します。
多くの管理組合では「経年劣化」も「瑕疵」も含めて、大規模修繕として管理組合の修繕積立金により行われている場合が多いようです。 「瑕疵」は「瑕疵」として責任を追及し、大切な管理組合の修繕費用を無駄遣いすることなく、建物の維持を行うことが重要です。

瑕疵の調査:コンクリート打継ぎ目地の調査
マンションの瑕疵
物の瑕疵とは一般に、その種類のものとして通常所有しているべき品質・性能を基準として判断した場合、
欠陥が認められるもののことですが、マンションの売買においても、通常の品質の材料で、通常の施工方法で作られ、
かつ通常の性能や強度をもつという基準から瑕疵が決定されることになります。
特別に見本売買として売り主が買い主に、モデルルーム等であらかじめ示した事項や保証した性能があれば、 それに反する部分は瑕疵となります。なお、パンフレッ トに仕様が変更されることがある旨、表示されている場合もありますが、 品質が同等またはそれ以上の変更は許されても品質の劣るものへの変更は許されません。
なお、マンションの分譲は売買契約ではありますが、建物の瑕疵が問題となる場合は、 建設時の請負契約における瑕疵と等しいので、裁判事例を参考にして判断することがで きると考えられます。 (「マンション紛争の上手な対処法」より引用)
瑕疵担保責任
瑕疵担保責任の期間は、売主である分譲会社との契約において定めていない場合は、
民法
の適用により、目的物の引渡を受けた日から10年以内で「買主が瑕疵を知ったとき」
から一年以内であれば、補修工事請求や損害賠償請求が行えます。
しかし、分譲マンションの売買契約に於いては、瑕疵担保責任は引渡後2年間と定められている場合が ほとんどであるため(宅地建物取引業者が売主として売買契約をした場合、 宅地建物取引業法 では引渡後2年以内に短縮することを許されていません。) 、年月を経なければ現れてこない「隠れた瑕疵」については、ほとんど無力となっています。 売買契約上アフターサービス条項が設けられている場合は、 ある程度の補修が行われるでしょうが、微力と言わざるを得ません。
多くの場合、売り主側は責任期間の終了を理由に請求に応じない場合が多いので、 まず瑕疵であることの立証を行い、販売会社または施工会社と交渉を行います。 竣工後10年以内であれば、施工会社は「道義的責任」において補修に応じる場合が少なくありません。 ただし、損害賠償請求については売り主への請求となります。
尚、平成12年4月以降に新築マンションを売買契約した場合には、 住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法) により「構造耐力上主要な部分」(基礎・基礎杭、壁、柱、床、屋根等)及び「雨水の浸入を防止する部分」 (屋根、外壁、屋根、外壁の開口部、雨水を排除するための排水管のうち屋根や外壁の内部、屋内にある部分) については瑕疵担保責任が10年間となっています。
瑕疵の事例
ybell では、設立当時からマンションの瑕疵問題のコンサルティングに取り組んできました。今まで扱ってきた瑕疵問題のいくつかをご紹介します。
Dマンション

瑕疵内容
築後7年目で西側外壁タイルの一部1㎡程度が剥落し、隣家に落下した。
調査・診断
販売ならびに施工した建設会社は当初、太陽の輻射熱による伸縮によるもので経年劣化が原因でると主張されたが、
コンクリート打ち継ぎ目地周囲に一次シールのはみ出しの存在ならびに タイル浮きが多面積に及ぶことを調査後確認し相手方に報告をおこなった。
交渉結果
築後7年目で西側外壁タイルの一部1㎡程度が剥落し、隣家に落下した。
Wマンション
瑕疵内容築後10年目で大規模修繕を実施する計画にあたり、住民アンケートの中に 「上階でトイレを使用しているのが克明に判るので、その音がどうにかならないか」 との記載があり、調査を希望された。
調査・診断
洋式便器の設置施工時に通常入れるべき防振ゴムの入れ忘れが確認された。 当該トイレ床仕上げは木製フローリングであったため、陶器と床板が固体振動し、下階に伝達された。
交渉結果
経過年数から考えると通常、施工した建設会社は保証対象に適格しないであろうが、 調査内容を報告書にまとめ、伝達したところ、全戸の対応がなされた。
Sマンション37戸/1棟

瑕疵内容
築後12年目の大規模修繕工事を実施するにあたり、調査を実施したところ、 外壁コンクリートのひび割れ原因が多種多様であり、一部室内への漏水も確認された。
調査・診断
ひび割れの原因ならびにその対応を販売会社に対して報告通知をおこなったところ、 0.1㎜以上のひび割れはその原因如何を問わず、修繕費用負担する回答があった。
交渉結果
このマンションのデベロッパーは販売兼建設会社であり又、その会社が管理会社としての委託管理上、 管理組合に対し問題を残したくないという理由であろうかと思われた。通常、ひび割れ問題はその原因を 「乾燥収縮」というコンクリート特有の特徴におきかえて「瑕疵」に相当しないという建設会社側の見解が多くみられるが、 どの文献においても、ひび割れを容認していることはない。
RSマンション
瑕疵内容築後11年目の第1回大規模修繕工事項目の中に外構照明器具設備の更新余儀なくされたため、 その劣化原因を調査したところ、地中にて電線が露出配線されていた。
調査・診断
管理組合に保管されていた竣工図面の電気配線系統図とおりに施工されていないため、 販売兼建設会社であったデベロッパーに対し問い合わせをしたところ、 11年間は支障なく照明されていたから、責任はないと回答された。
交渉結果
設計図書は販売時における約定書であることを主張し、民法でいうところの「隠れた瑕疵の発見」により、 配線改修費用ならびに照明器具交換費用の負担を要求、解決した。
RIマンション


瑕疵内容
築後3年目でコンクリート外壁面の各所にひび割れが発見された。室内への漏水も数カ所におよび確認された。
調査・診断
建設会社の回答は、0.3㎜以上のものあるいは漏水が確認されるカ所のみを対象とするとの回答であったが、 その数値の根拠ならびに建築物としての機能を技術的に討議した。
交渉結果
厚さ150㎜のコンクリートで0.1㎜以下のひび割れでも貫通していれば漏水は確認される報告があること、 「鉄筋コンクリート造のひび割れ対策指針・同解説」(日本建築学会)の見解ならびに建築基準法、 施行令などを引用し、施工時における技術的配慮不足がそのほとんどの原因であったことと確認された。 よって、その補修は施工した建設会社によってなされたが、数年経過後の再発に関しては懸念される補修方法で合意された。