大規模修繕
大規模修繕とは
一般的に大規模修繕とは、分譲マンションの性能維持、老朽化防止のために、外壁全面に足場をかけて計画的に行なわれる修繕工事を意味します。ほとんどの分譲マンションは鉄筋コンクリート造りなので、長期間メンテナンスをしなくても大丈夫と思われがちですが、 日々の紫外線や風雨の影響により、塗装のはがれやひび割れなどの劣化(経年劣化)が進行するので、修繕工事が必要となります。
ただし、外壁全面に足場をかけて行う大規模修繕工事とするか、部分的な小規模修繕工事とするかの判断は建物の状態により様々です。
初回の大規模修繕工事を築12年で実施するケースが多く見受けられますが、経年劣化以外の瑕疵による不良箇所が存在する可能性もあるので、 建物調査だけはできるだけ早い時期に行うことをおすすめします。
手抜き欠陥工事による瑕疵問題が、近年大変注目されていますが、10年を経過してから売主や建設会社に 瑕疵があることを損害賠償請求しても、法的に追及することが難しくなってしまうので、 できれば、引渡し後のアフターサービス期間内2年、あるいは10年を超えない、早い期間に 「長期修繕計画書」の見直しを兼ねて、ご相談ください。
修繕工事を適切に実施して行くためには、現況を充分に把握した後「長期修繕計画」を作成し、 計画的に行うことが肝心です。
具体的な工事項目としては、以下のような主に共用部分とされるエリアの劣化対策です。
- 屋上の防水
- 外壁のシーリング打替え
- 鉄部塗装
- コンクリート躯体のひび割れ等の損傷
- タイルの浮き、はく落
- 給水・排水管
大規模修繕の進め方
大規模修繕の進め方のパターンは、大きく分けて4つあります。
1. 設計事務所に委託
設計事務所などのコンサルタントと委託契約して、調査・診断、工事業者の選定、
総会決議のサポート、工事監理までを委託します。メリット
設計と工事が分離できるので、計画や費用の透明性、公正性が確保できます。
また、施工会社の選定や工事中のチェックも、第三者の目で厳しく行うことができるので、 手抜き工事などのトラブルを防止できます。
デメリット
工事費用と別にコンサルタント費用が発生します。
2. 管理会社に委託
居住しているマンションで既に契約している管理会社に委託します。メリット
日常管理を行っている立場から建物の細かなところまで熟知している場合が多く、 日頃から管理組合をサポートする業務を行っているので、組合の負担は軽くなります。
デメリット
一般的に、大規模修繕はこのパターンで進められるケースが多いです。
管理会社は、日頃からマンションを知り尽くしているが故に、組合側も安心して管理会社に任せきりにしてしまい、 欠陥工事や水増し工事など、大規模修繕によるトラブルの元になる現象が多発していることが、最近話題になっています。
業界の慣習として、管理会社は工事業者とある程度繋がっていることが多く、 複数業者から見積比較して決定する手順を省略するため、競争原理が働かずに費用がかさみやすく、 更に住民の見えないところで紹介料等をやり取りしているケースが少なくないなど、 透明性が失われやすい傾向にあります。
3. 管理組合内部で進める
管理組合で独自に情報収集したり、公募などを行って決定した施工会社に、工事内容の設計から施工まで
一貫して対応してもらう方式。
メリット
複数の工事業者に声を掛けて、依頼する業者を選定することで、コストを低く抑えることができます。
デメリット
必要とする工事がどれぐらいの規模なのか、見積が適正な費用なのか、出来上がりの品質に問題がないか、 などのチェックを管理組合側で全て行う必要があるため、管理組合に大規模修繕に関する知識や工事の施工・監理に 精通した人が存在する必要があります。
4. アドバイザーに相談する
建築や設備に生じる諸問題について専門家達から意見を聞いて、その中から自分たちの
希望にあったアドバイザーを選出する。修繕工事は必ずしも建築士が必要ではありませんから、工事の内容によっては施工業者の 責任施工で行うことも可能です。
ただし、発注、保証、工事の進め方などの条件は専門知識を有するものをアドバイザーとしてかかえておくと便利です。
大規模修繕の流れ
大規模修繕工事の事前調査~計画段階から工事完了後のアフターケアまで一貫して支援します。
以下は ybell に委託して大規模修繕工事を進める場合の、主な流れになります。

工事を短期間で行うためには、工事中や完成後の検査体制が整っているかどうかが、成功の分かれ目と言えますが、 大規模修繕工事では、新築時と比較しても比べることができないほど多くの検査を行う必要があります。
大規模修繕工事における検査は、検査員を豊富に抱える組合タイプのコンサルタント「ybell」におまかせください。
建物調査

保守点検報告書、修繕経歴書の内容を確認するなどの事前調査を行った後、 目視・触診・部分的な打検調査などにより、建物の老朽化、設備の劣化状況の調査を診断し、適正な補修範囲を定めます。 更に、目視調査で確認できない部位の不具合調査のため、住民アンケート調査を実施します。
工事設計

調査結果に基づき、施行業者への見積り依頼するためのスケジュール表(修繕計画書)や、補修の範囲や方法について記載した仕様書、予算書などを作成します。
施行業者選定

工事の内容、規模に適した業態、施行業者の規模、業績、経験など総合的な観点から、業者選択と推薦を行います。
施行業者の選定には、単純に工事費が安いだけではなく、会社の姿勢、 見積書の内容が発注者の意向を きちんと理解しているかどうかなど、総合的な判断が必要です。
監理

工事業者との打合せにより、工事計画の内容確認、調整、指示伝達を行い、工事の内容が設計図の指示通り行われているのか、 進行が計画通り出来ているのか、安全が確保されているのかなどを確認します。
アフターケア

大規模修繕工事完了後に、施行業者により行われる初年度点検に立会い、 アフターサービス補修の対象となる不具合があれば工事業者へ補修を依頼するなどのフォローアップを行います。